eスポーツのエコシステム・関連業界はコロナ危機収束後も成長を続ける見込み
数年前までニッチ・プレイヤーにすぎなかったeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ = eSports)は、今や伝統的スポーツ・エンターテインメント産業に創造的破壊(ディスラプション)をもたらす存在として影響力を高めている。メインストリーム・カルチャーとしての市民権を得て、ますます多くのファンと投資を獲得しつつあるのだ。複数プレイヤーによるビデオゲームの対戦競技であるeスポーツは約20年前から存在していた。しかしその人気が加速しはじめたのは、ビデオゲームのゲーム性・双方向性やマルチプレイ機能が飛躍的に進化した過去数年のことだ。
ビデオゲームをスポーツ競技として捉える考え方は、必ずしも全ての世代に受け入れられているわけではない。eスポーツ人気を、対戦ゲームの動画に夢中な若者世代特有の現象と捉える向きもある。2020年時点で推定ユニーク視聴者数が5億人超という膨大なオーディエンスにもかかわらず、既存メディアから“スポーツ”として扱われることはこれまでほとんどなかった。しかし様々なプロスポーツが中断・延期に追い込まれる中、コロナ渦でも運営・興業を続けるeスポーツが主流メディアにスポーツとして受け入れられつつある。
スポーツ観戦に飢えたファンも、お目当てのプレイヤーを応援し、試合のスリルを味わう新たな機会を求めている。例えば米大手スポーツチャンネルESPNは、有名スポーツ選手がビデオゲーム対戦を行うライブイベントを実施。これまでeスポーツを単なる“ビデオゲーム”大会と見なしてきたスポーツファンも、大会に参加し友人との対戦を楽しむようになっている
eスポーツのエコシステム・関連業界(ゲームパブリッシャー・ストリーミングプラットフォーム・チップメーカー・グラフィックカードメーカーなど)は、コロナ危機収束後も成長を続ける見込みだ。メディア企業が視聴者の増加がもたらす機会に注目する中、エンターテインメント産業とeスポーツのパートナーシップはさらに拡大する可能性が高い。
eスポーツ業界は運営体制・参加インセンティブの強化を進めており、今回のコロナ危機を契機としてさらに視聴者の裾野を広げる可能性もある。メディア・ブランド企業が、熱心なファン・消費者の多いeスポーツの可能性に関心を高めているのは確かだろう。投資が加速し、米国・日本を初めとする国々の若者の間で支持が広まれば、eスポーツが持つ成長産業としてのポテンシャルは世界規模でさらに加速するはずだ。
資料: Edelweiss Research, PriceWaterhouse Cooper, Newzoo, Marketwatch, Roundhill Investments Blog, esportsoberver, Forbes
Digital Asset Strategy
Investment Banking
Investment Banking