野村ESGマンスリー(2025年1月)

「多様性」と「公平性」の対立をどう捉えるか

  • 反ダイバーシティは、日本にも波及しうるか?
  • 市場区分見直しに関するフォローアップ会議の今後の検討項目

反ダイバーシティは、日本にも波及しうるか?

「多様性への偏重が、本来あるべき公平性の優先順位を下げている」というダイバーシティへの懐疑的な声が、米国で大きくなりはじめている。昨年からダイバーシティに関する指標を役員報酬から除外する動きは起きていたが、先月はナスダック市場が上場企業に課す女性や人種等の観点からマイノリティーの登用を求める多様性ルールを、連邦控訴裁が無効と判断したり、今年に入ってから米国企業がDEI(Diversity(ダイバーシティ)、Equity(エクイティ)、Inclusion(インクルージョン))に関する方針や取組みを撤回するケースもみられる。

こうした反ダイバーシティの動きは、日本にも波及しうるだろうか。よく知られるように、日本ではそもそも女性管理職、女性役員、女性取締役の登用が進まないなど、ダイバーシティについて欧米より大きく後れをとっている状況にある。米国での事業規模が大きい企業には何らかの影響を及ぼす可能性はあるものの、基本的に女性管理職、女性役員、女性取締役の登用をはじめ、日本国内で多様性確保に逆行する動きが生じる可能性は非常に低いと考えている。

市場区分見直しに関するフォローアップ会議の今後の検討項目

東証は24年12月10日に、25年以降のフォローアップについて公表した。今後の検討項目として、(1)資本コストや株価を意識した経営の推進・対話の促進、(2)親子上場、非公開化(少数株主保護)、(3)スタートアップ企業の成長促進、(4)経過措置の終了に伴う対応、の大きく4つの項目が挙げられた。

野村ESGマンスリー(2025年1月) 2025/1/14より

著者

    中川 和哉

    中川 和哉

    野村證券 ESG担当

    元村 正樹

    元村 正樹

    野村證券 シニア・エクイティ・ストラテジスト

    棚橋 研悟

    棚橋 研悟

    野村證券 エコノミスト