野村ESGマンスリー(2024年7月)

株主総会の動向に注目

  • 主要企業の株主総会の動向と、6月総会の株主提案の状況について分析
  • 2024年後半以降のESG関連の国内外注目イベントを整理

主要企業の株主総会の動向と、6月総会の株主提案の状況について分析

6月25日から27日にかけて、3月期決算企業のうち約7割の株主総会が開催された。TOPIX500指数を構成する3月期決算企業370社の議案について分析した結果、昨年と同様、今年の株主総会においても、ROEが低い企業群の取締役選任議案の賛成比率がそれ以外の企業群より相対的に低い傾向がみられた。また、取締役選任議案の賛成比率が低い議案について、その理由を紐解くと、(a) 企業の不祥事、(b) 業績不振(3期連続でROE8%未満、2期連続の赤字など)、(c) 在任期間の長期化を含む社外取締役の独立性などが、問題視されている可能性が高いと考えられる。

同じく6月総会で株主提案が出された賛成比率が高い議案の傾向を調べると、東京証券取引所が要請する「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を求める議案などで、高い賛成比率を記録しているケースがみられる。

2024年後半以降のESG関連の国内外注目イベントを整理

2024年も折り返しを過ぎた。今月号のESGマンスリーでは、2024年後半以降のESG関連の注目イベントをまとめた。日本国内では、2024年内にまとめられる予定の第7次エネルギー基本計画やGX国家戦略など脱炭素政策の進展が重要となろう。欧州では各国の選挙結果およびその後の政策の方向性に注目したい。米国では、11月の大統領選挙で共和党のトランプ氏が勝利すれば、米国の環境政策の方向性が急旋回するリスクがある。これら以外にも、生物多様性COP16、気候変動COP29などが重要イベントとして挙げられる。

野村ESGマンスリー(2024年7月) 2024/7/11より

著者

    中川 和哉

    中川 和哉

    野村證券 ESG担当

    元村 正樹

    元村 正樹

    野村證券 シニア・エクイティ・ストラテジスト

    岡崎 康平

    岡崎 康平

    野村證券 シニアエコノミスト

    棚橋 研悟

    棚橋 研悟

    野村證券 エコノミスト