野村ESGマンスリー(2022年1月)

「金融引き締め」と「ESG投資」の関連は?: 国や企業の取り組み強化の見極めと共に注目

  • 目標設定ラッシュの2021年から実行力・実効性が問われる2022年に
  • 「ESG投資」と金融環境引き締め転換との関係は?

目標設定ラッシュの2021年から実行力・実効性が問われる2022年に

2021年に脱炭素などの目標を掲げた各国・各企業は、今後目標に向けての取り組みを強化していくことになる。ただし、脱炭素による将来の化石燃料の供給減少を先取りするような形でエネルギー価格が上昇、足元で低所得者層の負担が高まって格差拡大懸念も強まっている。ロシアとの関係という変数も加わる複雑な状況を脱炭素の推進力に変えられるか、政権への逆風となって政策強化にブレーキがかかるのかはマクロ面で大きな注目点である。折しも新年に欧州委員会から脱炭素に向けて原子力発電を容認する指針が示された。これに対する賛否など様々な影響の広がりにも目配りが必要である。

「ESG投資」と金融環境引き締め転換との関係は?

足元では経済活動再開に加えて、上述したエネルギー価格の上昇、および新型コロナによる世界的なサプライチェーンの目詰まりなどを受けてインフレ圧力が高まっている。多くの国でコロナ対策のための流動性供給を含む金融緩和を転換、一部では金融引き締めも模索され、米国の金融政策は6年ぶりの利上げ転換が見込まれている。企業による「ESG経営」は長期的観点の取り組みであり、金融環境変化の影響をすぐに受けるとは考えにくいが、様々な投資資金に関連する「ESG投資」は影響を受ける可能性がある。


『野村ESGマンスリー(2022年1月)』 2022/1/12 より

著者

    若生 寿一

    若生 寿一

    野村證券 ESGチーム・ヘッド

    元村 正樹

    元村 正樹

    野村證券 シニア・エクイティ・ストラテジスト

    岡崎 康平

    岡崎 康平

    野村證券 シニアエコノミスト